リブコムズ編集室

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【あとがき】大洲市と宇都宮市は姉妹都市になるべきだ

モヤモヤ気分を押し流す!大洲市”大洲城下の小京都”の制作秘話です。

 

私が住んでいる栃木県日光市の隣は県庁所在地である宇都宮市だ。そして、宇都宮から伊予国に守護として派遣され、大洲の地に城を築いたのが宇都宮豊房だ。栃木県民の私からしてみれば、宇都宮から大洲へ行かされるのは少々かわいそうな気もする。
栃木も愛媛も大差ないと思うかもしれないが、宇都宮市の人口は50万人以上であるし、五街道のうち奥州街道日光街道の二つが通っている上に新幹線も停車する。おまけに豊房の一族である宇都宮氏が付近を本拠とした宇都宮二荒山神社は市の中心部であるし、その向かいには現在ではPARCOが建っている。そもそも宇都宮という地名自体に「都」と「宮」が入っているのだ。こんな地名は他に京都くらいしかないだろう。しかもだ、そこに「広い」を意味する「宇」まで付いているのだから、字面だけ見れば首都を名乗れそうなほどである。まあ豊房が大洲の守護となった1330年には宇都宮も大洲もそうは変わらなかっただろうが、政の中心である鎌倉からは遠く離れてしまう。大国で燻ぶるよりかは小国の長になる方がずっと名誉なことではあろうが、豊房はどんな思いで大洲へと旅立ったのか。宇都宮市の隣に住む者としては豊房の心中が気になってしまうのだ。
と、こんな差別まがいなことを言ってしまっては大洲市の方々に失礼である。いかなる場所でも住めば都だ。ちなみに、日光市民である私は宇都宮市民から「日光は寒いでしょ?」とよく聞かれる。気候が温暖かどうかで序列が決まるなら、我々栃木県民は瀬戸内の大洲に足を向けて寝ることは決してできない。

 

伊予国へ派遣された豊房を祖とする家系、伊予宇都宮氏の影響で、愛媛県は宇都宮姓が一番多い都道府県であるそうだ。それで思い出したのだが、中学2年生の時に道徳教育で鑑賞したビデオの主人公が宇都宮くんという名前であった。
『風の旅人』という題名のその作品は、幼少期にポリオを患い大人になってからも片足に障害が残っている主人公が、全身が動かせない障害を持ちつつも道行く人々にベッド式車いすを押してもらいながら愛媛県から(たしか大阪まで)来たという宇都宮くんと出会い、宇都宮くんの独自の哲学に感化されたり、意見をぶつけ合ったりしながら本当の自立とは何かを探っていくものである。 大人になってまで道徳の授業の内容を覚えていて、それを真面目に実践しているような人間は「坊っちゃん」などと言われてしまうのが常だが、障害者の人生を障害者の目線から描いたこの作品は、障害者や健常者を問わず「自立」とは何かを哲学的に考えさせる内容であり、感情論でしか問題に切り込まない一般的な道徳教育の教材とは一線を画している良作だ。

 

ちなみに、冒頭の英語のなぞなぞは高校生の時に外国人教師から出された問題である。この外国人教師はゲームを通じて英語を教えてくれたのだが、ジェスチャーゲームをやった時のことだった。ゲーム自体は単純で、カードに書かれたお題がチームの代表者だけに伝えられ、そのお題を代表者はジェスチャーだけで表現し、同じチームのメンバーが英語で答えるというものであった。私のチームはS君が代表者になったのだが、その身振り手振りがあまりにも奇怪だった。壊れたロボットとも盆踊りの練習ともつかない動作にチームの皆は首をひねるばかり。困りかねて私が日本語で「うーん、バカ?」と答えた途端、外国人教師が突然大声で笑い出した。腹を抱えて笑う外国人教師をよそに、私は「バカ」が外国人に伝わったという事実に困惑しながらも驚いていた。
中高生は習ってもいない英語のスラングを覚えているものだが、外国人が日本語を覚える時も同じなのかもしれない。汚い言葉を遠ざけるのは差別教育の第一歩のようなものだが、学習においては少なからず貢献しているのである。