リブコムズ編集室

ライブカメラ×観光情報サイト「LIVECOMBS」の制作裏側や普段のことを二人で書いています。https://livecombs.com/

【あとがき】根来寺というお寺のおかげでユーモア路線に目覚める

根来寺 ”学僧と火縄銃の寺”|岩出市のライブカメラ観光の制作秘話です。

厳粛な空気はお堅い場面が大嫌い。

葬式、真剣な話し合い、お偉いさんのスピーチ。張りつめた雰囲気を和ませようと、あの手この手で笑わせてくる。

場違いな物音、予想外のハプニング、なぜか思い出す笑えるエピソード。気にすまい、気を逸らさねば、そう思えば思うほど、普段なら気にならない物事がやけに面白く感じてしまう。

うつむいて、頬の内側をギュッと噛み、こぼれた笑いを咳払いで誤魔化す。そんな経験が誰でも一度はあるはずだ。

私もそうである。

由緒あるお寺の記事を書くのだから、真面目に、失礼なく、悪ふざけを一切排除して書かなくては。そう思っていた。

だが無理だった。

根来寺の歴史をまとめたまでは真面目だった。

しかし、こんな考えをしたのが間違いの始まりだった。「このままでは文章が堅すぎるから、少しくらい箸休めを入れるか」

その後の転落は速かった。

ネタを探しているうちに、Pokémon GOの問題を知った。友ヶ島の存在を聞いた。中央構造線の存在を思い出した。香川県根香寺を発見した。

その瞬間、全てが一直線につながったのだ。

その閃きに従って書いてみたら、真面目に書いた歴史の概要さえ伏線にした、古寺の紹介にあるまじき記事になってしまった。

だが私は謝らない。ユーモアの方向へ導いたのはきっと、根来寺が持つ厳粛な空気なのだから。

さて、お気づきになった方もいるかもしれないが、他の記事は大抵、コラムが3-1、3-2、3-3と三段構成なのに対し、根来寺だけ3-5まで存在する。

その理由はもちろん、あまりにもネタが多かったせいだ。

実はLIVECOMBSは当初、全ての記事を真面目な内容で書く予定だった。

しかし、最初に書いた5つの記事の内、根来寺の出来が突出して良かったので、根来寺からユーモアを削って他の記事と同じにするよりも、他の記事にユーモアを加えて根来寺に近づけようと判断したため、現在のようなユーモアとユニークさを優先した記事内容となったのだ。

つまり、LIVECOMBSが今の形になったのは根来寺のおかげである。きっとこれも根来寺の御利益なのだ。ありがたやありがたや。

おかげで、どこのサイトにも載っていない独自のネタを絞り出すのに大変な苦労をしているのだが、それはまた別の話。私の成長のために七難八苦を与えられていると好意的に解釈しておこう。

 

私は最初に根来寺の風景を見た時、あの場所はきっとこんな風景なのだろうと思った著書がある。

藤原正彦は『心は孤独な数学者』で、天才を生み出すのは美しい風景であると説いていたが、インドの大天才数学者・ラマヌジャンに関しては、彼が生まれ育ったクンバコナムという町に恐ろしく美しい寺院が存在すると綴っていた。私にはその恐ろしく美しい寺院のイメージが根来寺とピタリと符合したのである。

となれば、根来寺のある岩出市からは偉大な数学者が輩出されているに違いない。そう思ったのだが、調べてみる限り、そのような人物は見当たらなかった。

その代わりに、興味深い人たちが岩出市出身であることが判明した。

体操で3人同時にオリンピックに出場した田中和仁・理恵・佑典の田中3兄弟だ。

技の美しさを競う体操において、美の感覚を養える環境はとても有利だったに違いない。

もちろん、田中3兄弟が根来寺で美的感覚を磨いたかは知る由がないが。

そういえば、高校の頃、生物の教師がこんなことを語っていた。

「数学が得意な人は座標を意識して描くからか、絵が上手い人が多い」

芸術と数学は密接な関係にある。

子供に才覚を芽生えさせたいなら、美しい風景をとにかくたくさん見せるべきだろう。